超雑訳 Physically Based Shading at Disney

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今年発表された資料を見る前に,まずは新しいやつを見る前に2012に公開されている古いやつを見ていくことにします。
誤訳があったりなど,日本語としては多々見苦しい点があるかと思いますが,そこはご容赦ください。


1 Introduction

塔の上のラプンツェル[27]での物理ベースヘアシェーディングの成功の後,マテリアルの幅を広げるために物理ベースシェーディングを検討しはじめました。物理ベースヘアモデルで,アーティスティックな制御を保ちながら視覚的な豊かさの大きなステップに達することができました。しかしながら,伝統的な”アドホック”シェーディングモデルとパンクチュアルライトをシーンの残りに使用して,ヘアライティングと統合することは困難なことが判明しました。その後,映画のために,マテリアルと環境間でより一貫性のあるライティング反応を作成する一方で,マテリアルの全てについての表現の豊かさの増加と,また単純な制御を使用することを通じたアーティストの生産性向上も望んでいます。
我々が調査し始めたとき,どのモデルを使用するべきか,また我々が望むような物理ベースにする方法さえ明確にはありませんでした。屈折率のような物理パラメータを優先すべきか?
ディフューズについて,Lambertは受け入れられた基準のようにみえますが,一方でスペキュラーは創作の上では最も注目をひくように見えます。例えば Ashikhmin-Shirely(2003)[3]のようないくつかのモデルは,直感的で実践的でその上物理的にもっともらしくあることを目的としていますが,一方でHeら(1991)[12]のような他者はより説得力のある物理モデルを提供しています。まだフィッティングデータを改良すること[15, 14, 22, 17, 4]を目的とするものもありますが,これらの中のいくつかは直接操作するのに適しています。我々はいくつかのモデルを実装し,アーティストに選択をさせ,それらを組み合わせるようにすることができましたが,このとき我々が試みようとしていたものから遠く離れ,パラメータ爆発へと戻っていたかもしれません。
計測されたマテリアルの多様性の研究の1つは Nganら(2005)[21]で,5つの一般的なモデルを比較しました。他のモデルよりもコストが良くなったものもありますが,興味深いことに,モデルのパフォーマンスの相関関係は強くなりました―すなわち,いくつかのマテリアルは全てのモデルについてうまく表示され,その他については適したモデルが存在しないことが立証されました。追加的なスペキュラーローブを追加することはごく少数の場合のみ役出しました。質問をはぐらかしますが:なぜ異なるマテリアル上で表現されないのか?
この質問に答えるのとBRDFモデルを評価するために,BRDFの計測と解析の両方を比較し,表示することができる新しくBRDFビューアーを開発しました。計測されたBRDFデータを直感的に見る方法を発見し,既知モデルによって表現されない計測されたマテリアルにおいて興味深い特徴を見つけました。
これらのコースノートでは,どのモデルが計測したデータをフィットさせられるかそして,どれが達成できないかという観点に沿って計測されたマテリアルを研究することから得られた見解を共有しようと思います。現在のプロダクション全てにおいて現在使用されている我々の新しいモデルを提示します。また,プロダクションでこの新しいモデルを適用する際の経験を説明し,アーティスティックコントロールの適切なレベルを追加し,さらに単純で頑健さを保つ方法を説明します。
 
 

2 The microfacet model

BRDFを定義し,マイクロファセットモデル[30, 7, 33]の項で計測されたマテリアルと比較します。マイクロファセットモデルは与えられたライトベクトル\({\boldsymbol l}\) と視線ベクトル\({\boldsymbol v}\) の間で面反射が起こる可能性がある場合に,\({\boldsymbol l}\) と \({\boldsymbol v}\) ベクトルの間の中間にある法線を持つ面の一部分,あるいはマイクロファセットが存在するということを前提にします。これは”ハーフベクトル”で,時々マイクロファセット法線として言及され,\({\boldsymbol h} = \frac{{\boldsymbol l} + {\boldsymbol v}}{|{\boldsymbol l} + {\boldsymbol v}|}\) として定義されます。等方性のマテリアルに対するマイクロファセットモデルの一般項は次のようになります:
\[
f({\boldsymbol l}, {\boldsymbol v}) = {\rm diffuse} + \frac{D(\theta_h)F(\theta_d)G(\theta_l, \theta_v)}{4 \cos \theta_l \cos \theta_v}
\]
ディフューズ項は未知の形式の関数です。Lambertディフューズがよく想定され,定数値によって表されます。スペキュラー項について,\(D\) はマイクロファセット分布関数で,スペキュラーピークの形状に重要となり,\(F\) はフレネル反射係数で,\(G\) は幾何減衰あるいはシャドウイング因子です。
\(\theta_l\) と \(\theta_v\) は法線に関するベクトル\({\boldsymbol l}\) と \({\boldsymbol v}\) の入射角で,\(\theta_h\) は法線とハーフベクトル(つまり,\({\boldsymbol v}\) と \({\boldsymbol h}\)に対照的)間の角度であり,\(\theta_d\) は \({\boldsymbol l}\) とハーフベクトルとの間の”差分”角です。
物理的に妥当なモデルは分布関数,フレネル項,そして幾何的なシャドウイング因子として考えられるいくつかの追加要素を持つマイクロファセットモデルとしてまだ解明できる形式のマイクロファットを明確に記述していません。マイクロファセットモデルとその他のモデル間の唯一の実際の違いは明確にマイクロファセット導出由来の\(\frac{1}{4\cos\theta_l \cos\theta_v}\) 要素を含むかどうかです。この要素を含まないモデルについては,暗黙のシャドウイング因子は\(D\) と\(F\) の因数を外に出した後でモデルに\(4\cos\theta_l\cos_v\) を乗算することによって決定された可能性があります。
 
 

3 Visualizing measured BRDFs

3.1 The “MERL 100”

DisneyBRDF_Fig_1

※図はBrent Burley, “Physically Based Shading at Disney”,
SIGGRAPH 2012 Course: Practical Physically Based Shading in Film and Game Production, p.2 より引用。

ペイントや木,金属,布,岩,ラバー,プラスチック,その他合成物質のマテリアルなどを含む広い範囲をカバーする100の等方性BRDFマテリアルのサンプルのセットが2003にMatusikら[18]によってキャプチャーされました。このデータセットは三菱電機研究所(www.merl.com/brdf)から自由に利用でき,新しいBRDFモデルを評価するために一般に使用されます。これらのBRDFの一部分は図1で示されます。
MERL 100 における各BRDFは\(\theta_h\),\(\theta_d\),\(\phi_d\) の軸素ぞれについて沿ったキューブを90,90,180へと密にサンプルします。これらは1度増加分に一致します。ただし,\(\theta_h\) 軸がスペキュラーピークに近い集中データサンプルへとワープするのを除きます。データ中に穴がないように計測値は必要に応じてフィルタと外挿がされます。これはデータが簡単に使用できるので良いですが,特に地平線近くでどのぐらい正確なデータであるかがはっきりとしません。このため,フィッティングを行う際に地平線近くのデータを無効にする研究者もいますが,このデータはマテリアルの外観に大きな影響をもつことができるので考慮するためにまだ有益です。
 

3.2 BRDF Explorer

DisneyBRDF_Fig_2

※図はBrent Burley, “Physically Based Shading at Disney”,
SIGGRAPH 2012 Course: Practical Physically Based Shading in Film and Game Production, p.3 より引用。

MERL計測マテリアルの実行と解析モデルと比較するために,図2で示されるBRDF Explorerという新しいツールを開発しました。以下の特徴を持ち,github.com/wdas/brdf にてオープンソースとして利用可能です:
● GLSLで書かれた複数の解析BRDFをロードする機能
● Ngan ら[21] によってキャプチャーされた異方性マテリアルを含む計測されたBRDFをロードする機能
● 複数データプロット(3次元半球ビュー,極座標プロット,そしていくつかのデカルト座標プロット)
● 計算されたアルベドのプロット(すなわち,指向性半球反射率)
● 露光制御を持つ画像スライスビュー。
● インポータンスサンプルされたIBLを持つライティングオブジェクトビュー
● ライティングスフィアビュー
● パラメトリックモデルに対する動的なUI制御
このツールは計測されたマテリアルと既存の解析モデルを比較する際に我々の新しいモデルを開発するのと同じくらい非常に重要になりました。また驚くべきことに,より深いモデルパラメータとBRDF空間の理解を与えるので,対話的なBRDFエディタとしてアーティストに非常に有益であることが分かりました。
 

3.3 Image slice

DisneyBRDF_Fig_3

※図はBrent Burley, “Physically Based Shading at Disney”,
SIGGRAPH 2012 Course: Practical Physically Based Shading in Film and Game Production, p.4 より引用。

計測されたマテリアルを視覚化するための最も単純で,直感的な方法の1つは,イメージのスタックとして簡単に見ることであり,これはデータについての知識を得るための非常に強力なツールであるということが分かりました。結局のところ,MERL100マテリアルにおける興味深い特徴の全ては \(\theta_d = 90\) スライス上で見えるということです。2つのマテリアルに沿ったこの空間のスキーマティックなビューは図3で示されます。図4に示すように,その他のスライスは大まかにスライスのちょうどワープしたバージョンとなります。この所見は\(f(\theta_h, \theta_d)\) 形式の単純化した等方性BRDFモデル基底としてRomeiro(2008)[26]とPacanowsi(2012)[24]のような近年の研究で利用されています。
DisneyBRDF_Fig_4

※図はBrent Burley, “Physically Based Shading at Disney”,
SIGGRAPH 2012 Course: Practical Physically Based Shading in Film and Game Production, p.5 より引用。

 イメージスライス上で,左端はスペキュラーピークを表し,上端はフレネルのピークを表します。注意してほしいのは,下端に沿って,ライトと視線ベクトルは一致し,従って下端は再帰反射を表します。右下角は特にグレージング再帰反射を表します。ディフューズリフレクタンスはBRDF空間全体上で示されますが,イメージの真ん中は一般的にディフューズレスポンスのために分けられます。
 また図3におけるスキーマティックなイメージも \(\theta_l\) または \(\theta_v\) の等値線を含んでいます。多くのディフューズエフェクトはこの等値線に追従する傾向があります。\(\theta_d\) がゼロに近づくにつれて等値線はまっすぐになり,比較する \(\theta_d\) のスライスはディフューズ反射とスペキュラー反射のためマテリアルレスポンスの部分についての洞察を与えることができます。もう一つのヒントはもちろんカラーです; ディフューズリフレクタンスは表面化散乱と吸収のためであり,結果として色分けが見えるようになります。一方で,スペキュラーリフレクタンスはサーフェイスから来るもので,色分けできません(ただし,サーフェイスがメタリックである場合は除きます。この場合においてはディフューズコンポーネントは存在しません)。
 
 

4 Observations from MERL materials

4.1 Diffuse observations

DisneyBRDF_Fig_5

※図はBrent Burley, “Physically Based Shading at Disney”,
SIGGRAPH 2012 Course: Practical Physically Based Shading in Film and Game Production, p.5 より引用。

ディフューズリフレクタンスはサーフェース中へ屈折,散乱,部分的に吸収,そして再放射される光を表しています。与えられた光の一部が吸収されると,ディフューズレスポンスはサーフェイスカラーで染められ,そして染められた非金属のマテリアルの任意の一部分はディフューズと考えることができます。
 ランベルトディフューズモデルは方向性のすべてを失うぐらい充分に屈折光が散乱したとみなせ,従ってディフューズリフレクタンスは定数となります。しかしながら,図1と図5における様々なイメージスライスに見られるように,ランベルトレスポンスを表すマテリアルはほとんどありません[注意:ランベルトシェーダは \({\boldsymbol n} \cdot {\boldsymbol l}\) 要素を含みますが,その部分はライティング積分の部分で,BRDFではありません。
 図6に示すように,多くのマテリアルはグレージング再帰反射係数に落ちており,その他多くはピークを表しています。これはイメージスライス上で明らかに染めているためディフューズ現象のように見えます。 特に,粗さと強い相関があります-滑らかな表面,すなち,より高いピークを持つものは,陰影されたエッジを持つ傾向があり,粗い表面はシャドウの代わりにピークを持つ傾向があります。この相関は再帰反射レスポンスカーブ上で見ることができ,また図7で描画された球においても見ることができます。
DisneyBRDF_Fig_6

※図はBrent Burley, “Physically Based Shading at Disney”,
SIGGRAPH 2012 Course: Practical Physically Based Shading in Film and Game Production, p.6 より引用。

DisneyBRDF_Fig_7

※図はBrent Burley, “Physically Based Shading at Disney”,
SIGGRAPH 2012 Course: Practical Physically Based Shading in Film and Game Production, p.6 より引用。

滑らかな表面に対してグレージングシャドウはフレネル方程式によって予測されます:グレージング角においてサーフェイスから多くのエネルギーは反射され,拡散的に再放射するため少数がサーフェイス中へと屈折されます。しかしながら,ディフューズモデルは一般的にはフレネル屈折上の表面の粗さの効果を考慮せず,滑らかな表面の想定やフレネル効果を無視することのどちらもしません。
 Oren-Nayarモデル(1995)は粗いディフューズサーフェイスのディフューズ形状を平滑化するための再帰反射増加を予測します。しかしながら,この再帰反射ピークは計測されたデータのように強くはなく,計測された粗いマテリアルは一般的にディフューズの平滑化を示しません。Hanrahan-Kruegerモデル(1993)は,表面化散乱理論から派生しており,またディフューズ形状の平滑化を予測できますが,エッジにおいて十分に強いピークを持ちません。対照的に,Oren-Nayarモデルは完全に滑らかな表面を想定しています。図8でOren-NayarとHanrahan-Kruegerモデルの比較を表します。
Disney_Fig_8

※図はBrent Burley, “Physically Based Shading at Disney”,
SIGGRAPH 2012 Course: Practical Physically Based Shading in Film and Game Production, p.7 より引用。

 再帰反射ピークの他に,追加のディフューズ変化は図5のイメージスライス上で見ることができます。明度と色の変化の両方は \(\theta_l / \theta_v\) の等値線で見ることができます。これはレイヤー化された表面化散乱のためいくつかのケースでは当然であるかもしれません。しかしながら,レイヤー化された表面化散乱モデルでさえも一般には滑らか表面であるとみなし,強い再帰反射ピークを生み出しません。
 

4.2 Specular D observations

マイクロファセット分布関数 \(D(\theta_h)\) は図6に示すように計測されたマテリアルの再帰反射反応から観測することができます。マテリアルは表面の粗さを示すものとしてみることが可能なピークの高さに基づいて2つのグループへと分けられます。最も高いピークは,鋼鉄からで,400を超えます。ピークが一旦平らになると,曲線の残り部分はディフューズ反射率のようになります。
 MERLマテリアルの大多数は従来のスペキュラーモデルよりも長いテールを持つスペキュラーローブを持っています。図9に示すクロームサンプルが例です。このマテリアルのスペキュラーレスポンスは典型的にはなめらかで,高い光沢をもつ表面で,スペキュラーピークは幅と何倍も広いスペキュラーテールの2つの度合いのみを持ちます。奇妙なことに,従来のBeckmann, Bling Phong, そしてGaussian分布はこの幅においては理想に近く,ピークまたはテールのどちらかをうまく表現することができません。
DisneyBRDF_Fig_9

※図はBrent Burley, “Physically Based Shading at Disney”,
SIGGRAPH 2012 Course: Practical Physically Based Shading in Film and Game Production, p.8 より引用。

 より広いテールを必要とすることはWalterら(2007)[33]によって紹介されたGGX分布を導入するモチベーションとなりました;GGXはそのほかの分布よりもより長いテールを持ちますが,クロームサンプルのグローなハイライトを捉えることにはまだ失敗します。計測されたマテリアルをフィッティングのためにテールレスポンスをモデリングすることの重要性は2つの近年のモデルであるLöwら(2012)[17]とBagherら(2012)[4]の基礎となっています,これら両方のモデルはピークから独立してテールを制御するための追加パラメータを追加しました。テールのモデリングについてのその他のオプションはNgan[21]によって提案されたような最初のピークに第2のより広いスペキュラーピークを追加して使用することです。
 

4.3 Speuclar F observations

DisneyBRDF_Fig_10

※図はBrent Burley, “Physically Based Shading at Disney”,
SIGGRAPH 2012 Course: Practical Physically Based Shading in Film and Game Production, p.8 より引用。

 フレネル反射要素\(F(\theta_d)\) はライトと視線ベクトルが離れるように動くにつれてスペキュラー反射が増加し,滑らかな表面のすべてはグレージング入射角において100% スペキュラー反射にほぼ等しいと予測します。粗い表面については,100%スペキュラー反射に達しませんが,リフレクタンスはまだ段々とスペキュラーになっていきます。
 MERLマテリアルについてのフレネルレスポンスカーブは図10で示されます。カーブはオフセットされ,それらのレスポンスの全体形状を比較するためにスケールされます。各マテリアルは\(\theta_d = 90\) に近いリフレクタンスで増加をしめすものもあります。これもまた,図1においてのイメージスライスの上端に沿って見られます。
 特に,グレージング角付近の多くの曲線の勾配はフレネル効果によって予測されるものよりも大きいです。この観点は実際にはより高い入射角において証明された”オフ―スペキュラーピーク”を説明するためTorrance-Sparrowマイクロファセットモデル(1967)[30]の動機です。注意してほしいのは,グレージング角においてマイクロファセットモデル中の\(\frac{1}{4\cos\theta_l\cos\theta_v}\) 項が無限大になるということです。(モデルと実世界の両方で)これが問題にならない理由は,グレージングリフレクタンスがマイクロサーフェイスのシャドウイング効果によって低減されるからです。\(G\) 要素はライトベクトルのシャドウイング,対照的に,ビューベクトルのマスクキングを表し,チェックの際にグレージングリフレクタンスを維持します。しかし,シャドウイングを表す\(G\) 要素でさえ,\(\frac{1}{4\cos\theta_l\cos\theta_v}\)を持つ\(G\) の組み合わせは効果的にフレネル効果を増幅させます。
 

4.4 Specular G (and albedo) observations

DisneyBRDF_Fig_11

※図はBrent Burley, “Physically Based Shading at Disney”,
SIGGRAPH 2012 Course: Practical Physically Based Shading in Film and Game Production, p.9 より引用。

 ディフューズからのスペキュラーを分離するのと同様に \(D\) と \(F\) 要素の正確な推定が必要とされるので測定されたデータ中の\(G\)を分離することは難しいです。しかしながら,\(G\) の効果はディレクショナルアルベドにおける効果で直接的に見ることができます。
 アルベドは入射エネルギー全体に対する反射エネルギー全体の比です。広い意味では,サーフェイスの代表カラーをであり,全ての波長について1未満でなければなりません。アルベドは例えば太陽のような単一方向から来るライトとして考えることもでき,この場合においてはアルベドは入射角に依存した指向性関数になり,全ての角度と波長について1未満でなければなりません。
 多くのマテリアルのディレクショナルアルベドは図11に示すように最初の70度については比較的にフラットであり,グレージング角度におけるアルベドは表面の粗さと強い相関性ががあります。スムーズなマテリアルは75度付近でわずかに上昇して90度に向かって落ちていきます。粗い表面は,大抵著しく,グレージング入射角方向の全てを増大させます。とりわけ,アルベド値は全体的に低く,0.3を超えるアルベドを持つマテリアルは少数です。
 多くのラフなマテリアルによって表現されるグレージング再帰反射もまたアルベド中の有色の色合いによって証明されるようにこの増加に大いに貢献します。
 アルベドレスポンスは非常に滑らかな面と非常に粗い面の両方について図12に示されるモデル化されたG因子を選択することに一致します。とりわけ,\(\rm G\) と \(\frac{1}{\cos\theta_l\cos\theta_v}\)を完全に割愛することは,”\(\rm G\)無し”モデルと呼ばれ,グレージング角において過度に暗い反応となります。ここで重要な点は,\(\rm G\) 関数の選択がアルベドに大きな影響を持ち,それは同様にサーフェイスの外観上に大きな影響を持つということです。
DisneyBRDF_Fig_12

※図はBrent Burley, “Physically Based Shading at Disney”,
SIGGRAPH 2012 Course: Practical Physically Based Shading in Film and Game Production, p.10 より引用。

 スペキュラーモデルの中にはよりもっともらしいアルベドレスポンスカーブを生み出すことを目的に持つ特別に開発されたものがあります[30,29, 19, 20, 8, 9, 33, 10, 14]。これらのいくつかについては,エネルギーバランスを保つために完全にフラットなアルベドを作成することが目的です。図11に示したMerlデータのアルベドプロットに基づいており,マテリアルの多くはグレージングゲインのあるソートを示していますが,これは不合理な目標ではありません。その場合でもグレージングゲインのいくつかは非スペキュラー効果のためにもっとらしくなります。
 いくつかの前提を単純化すると,Smith の方法[29]に従い,マイクロファセット分布 \(\rm D\) からシャドウイング関数を導出するが可能です。これは Walter(2007)とSchlick(1994)によって使われたアプローチです。図12に見られるように,WalterからのSimthモデルのグレージングリフレクタンスは滑らかな面について著しく増加し,効果は測定されたデータ上で見ることができません。より粗い値について,レスポンスはよりもっともらしく見えます。注意してほしいのはSimthの\(\rm G\) は小さな数の関数のみについて解析項を持ち,テーブル法積分またはそのほかの近似がよく使われるということです。
 Kurtら(2010)[14]からの最近の実験に基づいたモデルは異なるアプローチを行っており,自由パラメータでデータフィッティングするモデルを提案している。図12は \(\alpha = 0.25\) を用いたKurtモデルを示しており,そのほかの\(\alpha\) の値は幅広い範囲のアルベドレスポンスを生成することが可能です。懸念されるのはKurtのアルベドは粗い分布についてグレージング角付近で急激に発散することです。その他のオプションはWalterから派生したSmith \(\rm G\) の1つを単に使用することあるいは,Schlickからの1つさえも単純化し,自由パラメータとして \(\rm G\) の粗さを分離することです。
 

4.5 Fabric

MERLデータベース中の布サンプルの多くはグレージング角においてスペキュラー色合いを示し,また同程度の粗さのマテリアルよりも強いフレネルピークを持ちます。これらの例を図13に示します。
DisneyBRDF_Fig_13

※図はBrent Burley, “Physically Based Shading at Disney”,
SIGGRAPH 2012 Course: Practical Physically Based Shading in Film and Game Production, p.11 より引用。

 色合いをつけられたグレージングレスポンスはに布はオブジェクトのシルエット付近でマテリアルカラーをピックアップする透過な繊維を大抵持つという事実によって説明されます。またこれはマイクロファセットモデルによる予測を超えるグレージング角において布に対する追加のゲインと解釈できます。
 多くの布地は非常に複雑なマテリアルレスポンスを持つことができますが,MERLの布地は比較的にモデル化が簡単であるように見えます。
 

4.6 Iridescene

DisneyBRDF_Fig_14

※図はBrent Burley, “Physically Based Shading at Disney”,
SIGGRAPH 2012 Course: Practical Physically Based Shading in Film and Game Production, p.11 より引用。

 図14に示すような3色のカラー変化するペイントは \(\phi_d\) に依存する最小値を持つ \((\theta_h, \theta_d)\) の空間を越えるカラーのコヒーレントパッチを示します。これは完全鏡面反射現象のようにみえ,それが与えるのはスペキュラーピークから離れた非常小さなリフレクタンスです。これは単純にひょっとしたら小さなテクスチャマップを持つ \(\theta_h\) と \(\theta_d\) の関数としてスペキュラー色相を乗算することによってモデル化できます。
 

4.7 Data anomalies

図15に示されるようなMERLデータの中に特異なものがあります。
● いくつかは非常に艶やかなマテリアルがあり,とりわけ金属で,恐らく異方性表面の傷またはレンズフレアを連想するような非対称性ハイライトを示します。
● 75度を越えるデータは外挿されるように見える
● 布地のグレージングレスポンスはよく変な不連続点を持ちます。恐らくキャプチャーする間球上に伸ばされて,エッジ近くでしわくちゃになるためです。
● 木材の中には木目のため \(\theta_d\) に沿った変調パターンのスペキュラーを示すものがあります。
● 表面化散乱効果は焼き込み済みである。
DisneyBRDF_Fig_15

※図はBrent Burley, “Physically Based Shading at Disney”,
SIGGRAPH 2012 Course: Practical Physically Based Shading in Film and Game Production, p.12 より引用。

 これらはデータやキャプチャープロセスの非難ではありませんが,むしろオーバーフィットやデータの拡大解釈しないための単に注意です。なぜマテリアルの中にはフィットするのが困難なものがあるのかという前に投げた質問の答えの一部分になる可能性もあります。
 
 

5 Disney “principled” BRDF

5.1 Principles

新しい物理ベースのリフレクタンスモデルを開発する際に,直接的にアートに我々のシェーディングモデルが必要であり,物理的に正しい必要性がないということをアーティストに警告しました。これはなぜかというと,我々の指針は物理的に厳密なものではなく”原則に基づいた”モデルを開発することだったからです。
 我々のモデルを実装する時にこれらの原則は以下に従ったものです:
1. 物理的なパラメータよりも直感的なものが使われるべきである。
2. 可能な限り少ないパラメータとすべきである。
3. パラメータは 0 から 1 の妥当な範囲上にすべきである。
4. パラメータはそれが理に適う場合,妥当な範囲を超えて押し出しできるように許可するべきである。
5. パラメータのすべての組み合わせは頑健とすべきで,可能な限りもっともらしくあるべきです。
 我々は徹底的にパラメータの追加を議論しました。次のセクションで述べるように最終的に1つのカラーパラメータと10個のスカラーパラメータを持つということに落ち着きました。
 

5.2 Parameters

baseColor : サーフェイスカラー,通常テクスチャマップによって供給される。
subsurface : 表面下の近似を用いてディフューズ形状を制御する
metallic : 金属度(0 = 誘電体, 1 = 金属)。これは2つの異なるモデルの線形ブレンドです。金属モデルはディフューズコンポーネントを持たず,また色合い付けされた入射スペキュラーを持ち,基本色に等しくなります。
specular : 入射鏡面反射量。これは明示的な屈折率の代わりにあります。
specularTint : 入射スペキュラーを基本色に向かう色合いをアーティスティックな制御するための譲歩。グレージングスペキュラーはアクロマティックのままです。
roughness : 表面の粗さで,ディフューズとスペキュラーレスポンスの両方を制御します。
anisotropic : 異方性の度合い。これはスペキュラーハイライトのアスペクト比を制御します(0 = 等方性, 1 = 最大異方性)。
sheen : 追加的なグレージングコンポーネント,主に布に対して意図している。
sheenTint : 基本色に向かう光沢色合いの量。
clearcoat : 第二の特別な目的のスペキュラーローブ。
clearcoatGloss : クリアコートの光沢度を制御する(0 = “サテン”風, 1 = “グロス”風)。
我々の各パラメータの効果の描画例を図16に示します。
DisneyBRDF_Fig_16

※図はBrent Burley, “Physically Based Shading at Disney”,
SIGGRAPH 2012 Course: Practical Physically Based Shading in Film and Game Production, p.13 より引用。

 

5.3 Diffuse model details

 いくつかのモデルは次のようなディフューズフレネル要素を含みます:
\[
(1 -F(\theta_l))(1 – F(\theta_d))
\]
ここで,\(F(\theta)\) は反射に対するフレネル要素です。
[注意:屈折に対するフレネル法則から,そしてHelmholtzの相反性を保つために,1つは面内へで,もう一つは面外への2回の屈折に対して考慮する必要があります。]
 測定データの観測にみられるように,我々の過去のスタジオでの経験に基づき,Lambertディフューズモデルは大抵エッジ上が暗くなりすぎ,フレネル要素を追加することは物理的によりもっともらしくし,暗くするのみです。
 我々の観測に基づき,平滑なサーフェイスについてはディフューズフレネルシャドウで,粗いサーフェイスについては追加されたハイライトである間を遷移するディフューズ再帰反射についての新しい経験に基づくモデルを開発しました。この効果に対する可能な説明は,粗いサーフェイスについては,ライトは入射し,微小面の機構側に出射し,グレージング角において屈折を増加させるかもしれないです。いずれにしても,我々アーティストはそれを好み,現在よりもっともらしく,物理的な基礎を持つということを除いてアドホックモデルにおいて使われた機能と類似しています。
 我々のモデルでは,ディフューズフレネル要素に対する屈折率を無視し,入射のディフューズ損失は無いということを仮定しています。これにより入射ディフューズ色を直接的に指定することができます。我々は Schlick Fresnel 近似を使用して,ゼロよりもむしろ粗さから決定された指定値へと向かうためのグレージング再帰反射レスポンスを修正します。
 我々は基本ディフューズモデルは次のようになります:
\begin{eqnarray}
f_d &=& \frac{baseColor}{\pi} \left( 1 + (F_{D90} -1)( 1 – \cos \theta_l)^5 \right) \left( 1 + (F_{D90} – 1)( 1 – \cos \theta_v )^5 \right) \\
ここで \\
F_{D90} &=& 0.5 + 2 roughness \cos^2 \theta_d
\end{eqnarray}
これが生み出すのはディフューズフレネルシャドウで,平滑なサーフェイスについてグレージング角において 0.5 で入射ディフューズリフレクタンスを減らし,粗いサーフェイスについて 2.5 まで上昇するレスポンスを増加させます。これはMERLデータに妥当な一致を提供するように見え,芸術的に最もらしくとみなすこともできます。我々のモデルの様々なラフネス値についてのBRDF画像スライスは図17で示されます。
DisneyBRDF_Fig_17

※図はBrent Burley, “Physically Based Shading at Disney”,
SIGGRAPH 2012 Course: Practical Physically Based Shading in Film and Game Production, p.14 より引用。

 subsurfaceパラメータは基本ディフューズ形状とHanrahan-KruegerサブサーフェイスBRDF[11]にインスピレーションを受けたものをブレンドします。これは与えられたサブサーフェイスの遠くに離れたオブジェクト上の外観について有益になり,ここでは平均散乱経路長は短いです; しかしながら,それは影やあるいはサーフェイス中を通って光が漏れることはないのだけれども完全に表面下の輸送の代用になりません。
 

5.4 Specular D details

有名なモデルの中で,GGXは最も長いテールを持ちます。このモデルは実際に実験データに合致する能力のため Blinn(1977)[6]によって好まれたTrowbridge-Reitz(1975)[31]分布に等しいです。しかしながら,この分布はまだ多くのマテリアルについて十分に長いテールを持ちません。
 TrowbridgeとReitzはそれらの分布関数を刷りガラスを測定するためいくつかそのほかの分布に沿って比較しました。その他の分布の一つは,Berry(1923)からで,非常に似た形式を持ちますが,指数1の代わりに2を用いた,十分に長いテールの結果となります。これが示唆しているのは可変指数を持つより一般的な分布で,ここで導入され,一般化されたTrowbrige-ReitzあるいはGTRと呼びます。
\begin{eqnarray}
D_{\rm Berry} &=& c / (\alpha^2 \cos^2 \theta_h + \sin^2 \theta_h) \\
D_{\rm TR} &=& c / (\alpha^2 \cos^2 \theta_h + \sin^2 \theta_h)^2 \\
D_{\rm GTR} &=& c / (\alpha^2 \cos^2 \theta_h + \sin^2 \theta_h )^\gamma
\end{eqnarray}
これらの各分布上で,\(c\) はスケーリング定数で,\(\alpha\) は0と1の間のラフネスパラメータです; \(\alpha = 0\) は完全に滑らかな分布を生み出し(すなわち,\(\theta_h = 0\) におけるデルタ関数です),\(\alpha = 1\) は完全に粗いあるいは均一な分布を生み出します。
DisneyBRDF_Fig_18

※図はBrent Burley, “Physically Based Shading at Disney”,
SIGGRAPH 2012 Course: Practical Physically Based Shading in Film and Game Production, p.15 より引用。

 事前フィッティングの結果は典型的には \(\gamma\) の値が 1 と 2 の間であることを示唆しています。興味深いことに,\(\gamma = \frac{3}{2}\) のGTRは\(\theta = 2\theta_h\) についての Henyey-Greenstein 位相関数に等しいです; 2倍の \(\theta_h\) は半球から全球への分布を拡張させることとしてみることができます。
 最もらしいマイクロファセット分布は正規化されてなければならず,効率的に描画するために重点サンプリングもサポートしていなければなりません。半球上を積分可能にするための分布は両方を必要とします。幸いに,この関数は単純な閉形式の積分をもちます。正規化と重点サンプリング関数ならびに効率的な異方性形式は付録Bで導出されています。
 我々のBRDFについて,GTRモデルを用いた両方に2つの固定されたスペキュラーローブを持つことを選択しました。最初のローブは \(\gamma = 2\) を使用し,2つ目のローブは \(\gamma = 1\) を使用します。最初のローブはベースマテリアルを表現します。したがって,異方性あるいは/また金属になる可能性があります。2つ目のローブはベースマテリアルの1層上のクリアコートを表します。したがって,常に等方性で,非金属です。
 粗さについて,\(\alpha = \rm{roughness}^2\) のマッピング結果は,より知覚的に粗さにおいて線形変化します。再マッピングなしで,非常に小さく,直感的でない値は艶やかなマテリアルに合致するために必要とされます。また,粗いマテリアルと滑らかなマテリアル間の補間は常に,粗い結果を生み出します。補間結果は図16と19に示されます。
 明示的な屈折率あるいはiorの代わりに,我々のスペキュラーパラメータは入射スペキュラー量を決定します。このパラメータの正規化された範囲は入射スペキュラー範囲[0.0, 0.08]へと線形に再マッピングされます。これは範囲[1.0, 1.8]における屈折率の値に一致し,多くの共通するマテリアルを網羅します。特に,1.5の屈折率に一致するミドルパラメータ範囲に一致し,表示に典型的な値で,それは我々のデフォルト値になります。スペキュラーパラメータは高い屈折率に到達するために1を超えることが可能ですが,注意が必要です。このパラメータのマッピングは与えられた本物の世界の入射リフレクタンス値が非直感的に低いのでアーティストがもっともらしいマテリアルを作成するために得る上で大いに有効です。
 我々のクリアコート層について,固定された屈折率1.5を使用し,ポリウレタンを表現します。また代わりにアーティストがクリアコートパラメータを用いて層の強度をスケールすることができます。正規化されたパラメータ範囲は[0, 0.25]のスケール全体に一致します。この層は,大きな視覚的な影響を持っているのだけれども,ベースレイヤーからの任意のエネルギーを減算しないので比較的に小さなエネルギー量を表現します。ゼロに設定すると,クリアコートそうは効果を無効化され,コストがかかりません。
 

5.5 Specular F details

我々の目的のため,Schilick Fresnel近似[28]は十分で,完全なFresnel方程式よりも相当単純です; 近似によってもたらされる誤差はその他の要因による誤差よりも著しく低いです。
\[
F_{\rm Schlick} = F_0 + (1 – F_0)(1 – \cos \theta_d)^5
\]
 定数 \(F_0\) は入射法線におけるスペキュラーリフレクタンスを表現し,金属用(すなわち着色)誘電体のための無彩色と有彩色となります。実際の値は屈折率に依存しています。注意してほしいのは,スペキュラー反射はマイクロファセットから由来し,したがって\(\theta_d\) に依存する \(F\) はライトベクトルとマイクロ法線(すなわちハーフベクトル)間の角度で,サーフェイス法線を持つ入射角ではありません。
 Fresnel関数は入射スペキュラーリフレクタンスとグレージング角の単位元間の(非線形)補間としてみることができます。すべてのライトが反射されるのでグレージング入射においてレスポンスは無彩色になることに注意してください。
 

5.6 Specular G details

我々のモデルについては,ハイブリッドアプローチを採用しました。与えられたSmithのシャドウイングファクターは最初のスペキュラーに対して利用可能で,WalterによるGGXに由来するGを使用しましたが,ラフネスの再マップは艶やかなサーフェイスについて限度を超えたゲインを減らすためです。特に,Gを計算する目的のため,範囲[0, 1]から減衰範囲[0.5, 1]へとオリジナルのラフネスを線形にスケールしました。我々はこれを行う前に,以前に述べたようにラフネスを2乗します。したがって最終的な \(\alpha_g\) 値は \((0.5 + \rm{roughness}/2)^2\) となります。
この再マッピングは小さなラフネス値についてスペキュラーが”激しすぎる”というアーティストからのフィードバックと同様に測定データとの比較に基づいています。これは我々にラフネスで変換する G 関数を与え,すくなくとも部分的には物理ベースであり,もっとらしく見えます。クリアコートスペキュラーについて,我々はSmith G の導出を持っておらず,単純にGGXのGを固定されたい0.25のラフネスで使用し,もっともらしく,そして芸術的に魅力あることがわかりました。
 

5.7 Layering vs parameter blending

一旦新しいモデルが落ち着くと,どのようにシェーダへと組み込むかを決定することが必要となります。最初の疑問はどのパラメータが空間的に変化する必要があるかということで,そしてその答えはすべてとなります;もしアーティストが単純にサーフェイス上の2つの異なるマテリアルを欲する場合,それらの間をマスクし,すべてのパラメータ間で補間する必要があります。また,マスクはフィルタされ,ブラーされたエッジのマスクにおいてマテリアルレスポンスはもっともらしいものを維持します。
我々の設計した原理の利点の1つはすべてのパラメータが正規化されている上で,少なくとも知覚的に線形で,非常に直感的な方法でマテリアルを一般的に補間することです。この例を図19に示します。
DisneyBRDF_Fig_19

※図はBrent Burley, “Physically Based Shading at Disney”,
SIGGRAPH 2012 Course: Practical Physically Based Shading in Film and Game Production, p.17 より引用。

 ロバストに補間を実現できたら,マスクを通じてすべて空間的な変化を達成ているかどうかということを疑問に思いました。このアイデアはアーティストがマテリアルプリセットのリストを選択し,単純にテクスチャマスクを用いてそれらの間をブレンドするということです。これは素晴らしく上出来なワークフローを大いに単純化し,マテリアルの一貫性を向上し,そしてシェーダ評価を極めて効率的するということが判明しました。我々のシェーダUIを図20に示します。
DisneyBRDF_Fig_20

※図はBrent Burley, “Physically Based Shading at Disney”,
SIGGRAPH 2012 Course: Practical Physically Based Shading in Film and Game Production, p.17 より引用。

 
 

6 Production experience on Wreck-It Ralph

シュガーラッシュ上で”原理に基づくレイヤー”のシェーダを我々は開発し,髪を除いて(まだ塔の上のラプンツェルで開発されたモデルが使われている)実質上すべてのマテリアルに使用しました。マテリアルの多様さは図21で見ることができます。気を付けてほしいのはスペキュラーコンポーネントについて地面上やカーペット,そしてその他の粒状のマテリアルでみられる煌く効果を生み出すために独立した法線が大抵使用されるということです。
DisneyBRDF_Fig_21

※図はBrent Burley, “Physically Based Shading at Disney”,
SIGGRAPH 2012 Course: Practical Physically Based Shading in Film and Game Production, p.18 より引用。

 新しいマテリアルモデルと併せて,マテリアルの見た目を良くしふさわしくするために決定的に重要性を持つ新しくサンプルされたエリアライトとIBLも導入しました; もっともらしい艶やかなマテリアルを作成し,点光源を持つライトはハイライトがちっちゃなドットになる場合,そしてマテリアルプロパティを調整するために許可されるライト,例えばエリアライトのフェイクするためにラフネスを増加させたりなどは完全に物理ベースシェーディングの枠組みを破壊します。制御性とマテリアル反応の一貫性の価値もまた上げるので実際にエリアライトやIBLsをライターは好むという良い知らせがあります。また注目すべきなのは,新しいマテリアルモデルはサンプルされたライトの積分を実行するために各リフレクタンスを乗算することが高価だった以前のアドホックシェーディングモデル上でサンプルされたライトと切り替える動機要因と実現要因の両方があります。
 シュガーラッシュでの成功に基づき,我々は次の映画で新しいシェーダイングモデルを修正なしで使用するための計画および利用を既にしています。
 

6.1 Look development

すべてにおいて単一のBRDFを持つことの利点の一つは対話的なマテリアルエディターの開発が単純化されてるということです。我々の”マテリアルデザイナー”は法線,オブジェクトID,そしてマテリアルレイヤーマスクを含むGバッファを描画出力します。これらのチャンネルを用いて,すべてのBRDFパラメータが対話的に編集するために割り当てられている間はすぐにイメージベースドリライティングが実行されます。アーティストはリアルタイムでIBLを回転することができ,すべてのパラメータの完全な効果と,製品モデル上の完全なコンテキストにおけるレイヤーを視認します。
 統合したモデルのその他の利点はマテリアルデザイナーから保存出力されたプリセットの集合から構成される非常にシンプルなマテリアルライブラリの便利さです。マテリアルはライブラリから選択することができ,追加レイヤーとしてシェーダを追加でき,このときマスクを用いてブレンドされます。したがってレイヤーはPhotoshopのレイヤースタックのようにすぐに組みあがります。
 マテリアルを完全に評価するために,すべての角度から光を当てることは極めて重要です。新しいマテリアルモデルへの切り替えの一部として,様々なIBLを用いてすべてのエレメントをプロファイリングすることから始め,エレメントとライティングの両方を含むようにターンテーブル全体を回転させます。
 新しいシェーダシステムの最終結果は見た目の変化において非常に生産性を向上させ,新しいアーティスト向けのトレーニング時間をより短くし,より一貫性のある高品質な結果となりました。見た目の変化の多くはマテリアルについて何度もライティングを行う必要性がほとんどないためアーティストが画を早く次々と出すのが可能になったということに気を付けてください。これは前例がなかったことです。
 

6.2 Lighting

先に述べたように,異なるライティングへのアプローチは新しいマテリアルモデルで行うために必要とされます。これは大きな学習曲線を必要とします。それは物理ベースモデルの過度な妥協なしでアーティストのライティング制御に戻っての追加の挑戦でもありました。
 ライティングにおける最も大きな変化の一つはローカルな補助光としてIBLを使用することに移行するというものです。多くのIBLはショット中で特定のエレメントに関連したライトを伴って使用され,多くは距離が切り捨てられています。これらはマテリアル特性を大規模に無視する以前の環境マップを上回る大きな改良点です。エリアライトもまた追加で受けが良かったです。
 ライターについての最も大きな挑戦の1つは最初に現実的な光強度の値で行い,減衰することです。我々は最終的には与えられた距離における要求された露光に達するために強度を自動的に調整する多くは離れた仮想的に光源を作成することによって動作する非物理減衰制御を開発しましたが,光強度の制御と減衰はライターにとってチャレンジが残っています。
 ライティングについてその他の試練はスペキュラーハイライトは現在あるトーンマッピングのソートを必要とするという事実です。光沢のあるマテリアル上のハイライトは数百へと到達可能で,単純に値をクリッピングすると見た目が粗く,異なる位置において各カラーチャンネルのクリップとしてバンドを導入し,中心部が常に白に行くように強制します。我々は多くのディスプレイレンジについてカラー値を保ち,カラーとコントラストを維持しながら先端でロールオフする新しいグローバルトーンマッピングオペレータを開発しました。デフォルト設定は多くの場合に理想的に動作しますが,カラーグレーディングの間は1ショットごとに最終的な値を調整します。
 最後だけれども,マテリアルは予想通りに作用し,それはライターに非常に大きな利点であり,物理的にふさわしい出発点を与えます。
 

6.3 Feature work

現在の最も大きな問題の1つは,直感的に制御可能なサブサーフェイスモデルの欠如です。このキーアスペクトはBRDFの積分です。理想的には,例えば同等の結果を達成する遠く離れたオブジェクトについて使用するのが可能なBRDFモデルのようなサブサーフェイスモデルとBRDFの一致が存在するでしょう。また,アーティストは全体的な露光を変化させることなくサブサーフェイス効果をオブジェクトに追加するためにゼロからの平均自由行程を増加さえるのが可能にすべきです – すなわち,単にディフューズの形状を変化すべき(そしてライトは拡散が有効である場合に影へとにじみ出るべき)。
 我々は布のリフレクタンスのモデル化をさらに推し進めたいです。とりわけ複雑な布モデルについてのキャプチャーされたリフレクタンスデータを用いて布を描画するためには特殊なシェーダを追加する可能性があることが分かっていますが,布マテリアルを幅広く直接モデル化する調査をしたいと思います。しかし,現在この必要性に駆り立たれる映画はありません。
 また,我々のモデルに虹色を追加する要望をもらいました。これは、前述したように,スペキュラーカラーバリエーションを追加するのと同じくらい簡単にする必要があります。
 


Aknowledgements, References, Appendix についての和訳は省略しますので,各自で原文をご参照ください。

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