ラスタライザーの効率性を測るシェーダ

“Optimizing the Graphics Pipeline with Compute”を見ていたら,ラスタライザーの効率性を表示するピクセルシェーダが載っていたので,忘れないようにメモしておこうかと思います。

float3 main() : SV_TARGET0
{
    bool inside = false;
    float2 barycentric = fbGetBarycentricLinearCenter(); //__XB_GetBarycentricCoords_Linear_Center();

    if (barycentric.x >= 0 && barycentric.y >= 0 && barycentric.x + barycentric.y <= 1)
        inside = true;

    uint2 insideBallot = fbBallot(inside); //__XB_Ballot64();
    uint  insideCount  = countbits(insideBallot.x) + countbits(insideBallot.y);
    float insidePrecent = insideCount * (1.0 / 64.0);
    return float3(1 - insidePercent, insidePercent, 0);
}

合っているどうか全くわからないけども,Shader Model 6.0以降で書くと次のような感じ???
SM6.0全然弄ってないから分からん。

float3 main(linear float3 barycentric : SV_Barycentrics) : SV_TARGET0
{
    bool inside = false;
    if (baryenctric.x >= 0 && barycentric.y >= 0 && barycentric.x + barycentric.y <= 1)
        inside = true;

    uint  insideCount  = WaveActiveCountBits(inside);
    float insidePercent = insideCount * (1.0 / 64.0);
    return float3(1 - insidePercent, insidePercent, 0);
}

たぶん,間違っていると思うので誰か正しいコード教えてください。

ビジビリティカリング メモ(3)

こんちわ、Pocolです。
前回までで,ビジビリティカリングの説明が終わりました。
こんなに素晴らしいカリング手法があるのなら,積極的に使いたいと思いました。
で,ふと思いついたのが,ビジビリティカリングをシャドウキャスターのカリングに使おうという単純なアイデアです。

参考文献

[3] Oliver Mattausch, Jiri Bittner, Ari Silvennoinen, Daniel Scherzer, and Micheal Wimmer, “Efficient Online Visibility for Shadow Maps”, GPU Pro 3, pp.233-242, CRC Express, 2012.
[4] Jiri Bittner, Oliver Mattausch, Airi Silvennoinen, Micheal Wimmer, “Shadow Caster Culling for Efficient Shadow Mapping”, I3D’11: Symposium on Interactive 3D Graphics and Games, February 2011, pp.81-88.

実装アイデア

実装アイデアはいたって単純です。
[3]の文献で使用されているハードウェアオクルージョンカリングの代わりにカリング手法をビジビリティカリングに置き換えるだけのものです。

まず,以下を前提とします。
・カメラビューからみた深度バッファがある。
・シャドウマップ行列がすでに求まっている。

[3]の手法をかなり雑に説明すると,
欲しい情報は「カメラビューから見た時のピクセルにシャドウが落ちるかどうか?」であるので,カメラビューのピクセルにシャドウを落とさないものは,そもそも寄与しないからカリングしてよくね?というアイデアです。

実装のためのメモ

ここからは自分なりの実装前の実装するためのメモです。
[3]の手法を実装するために,マスクが必要なります。

まずは,Pre-Zなりで作成されたカメラビューから見た深度バッファを用いて,現在フレームのワールド空間位置座標に変換し点群を求めます。
次に,この求まったワールド空間位置座標にシャドウマップ行列を適用し,ライトビュー空間位置座標に変換します。
これでライトビュー空間からみたときのラスタライズ位置が求まるはずです。
あとはUAV等に,このラスタイズ位置に「カメラから見える」としてフラグを書き込みます。
これでマスクが完成です。

次に,False Negative Passと同じ要領でライトビューからOBBを描画し,マスクバッファ上のフラグが立っている場所にシャドウをキャストするものだけをビジビリティバッファ上に「見える」としてマークします。
これで「カメラビューに寄与するシャドウキャスターのみ」のビジビリティバッファが完成します。

あとはインダイレクトドロー情報を生成して,ExecuteIndirect()で描画すればOKのはず…。

オプションとして,Mainパスに当たる部分のように前フレームのシャドウマップバッファを用いて,粗くカリングしておくという手も考えられます。…あんまり高速化期待できないかもしれませんが。

ビジビリティカリング メモ(2)

前回の続きです。
今回はFalse Negative Passの説明。

False Negative Pass

Main Passでは前フレームの深度バッファをダウンサンプルして,現在フレームの深度バッファをでっちあげカリング処理を行いました。
当然ながら,適当にでっちあげた深度バッファだと誤判定される可能性があります。
そこで,False Negative Passで誤判定されたものを取りこぼしが無いようにちゃんと判定しようというわけです。

このパスでは,フル解像度の深度バッファを用いて描画を行います。
文献[1]には,理論的にはコンサバティブラスタライゼーションを用いれば,この第2オクルージョンパスでも1/4解像度の深度バッファが使えると書いてあるのですが,いくつかの問題があったためフル解像度を使っているようです。

ビジビリティバッファのクリア

False Negative Passの最初の処理はビジビリティバッファのクリアです。
これはメインパスと同じようにゼロクリアすれば良いようです。

ビジビリティバッファを埋める

メインオクル―ジョンパスのように,Early-DepthStencilテストを通過したピクセルをビジビリティバッファ中にVisibleとしてピクセルシェーダで各インスタンスをマークします。問題のあるオブジェクトすべては最初のパスでどっちみち描画されるので,カメラのニア平面背後にあるバウンディングボックスに対してクランプするコードの実行は不要になります。

インダイレクトドロー情報を生成する

インダイレクトドロー情報はメインパス中で生成されます。
このときには可視できるインスタンスドロー情報のみが生成されているので,遮蔽されたインスタンスに対する処理は不要になります。

インダイレクトにFlase Negativeを描画する

メインパスと同じように描画します。

ここまでは,文献[2]でも説明されているので,特に新しいことはありません。
ここから先はアイデア段階のものです。
…それは次回に説明します。

ビジビリティカリング メモ(1)

新年明けましておめでとうございます。
本年もProjectAsuraをよろしくお願い致します。

さて,今日はビジビリティバッファを用いたカリングを行うための自分用の実装メモを残しておこうと思います。
あくまでも自分用なので間違っているかもしれません。また実装結果ではなく,これから実装するためのメモなので全然当てにならない可能性もあるので注意してください。

参考文献

[1] Hawar Doghramachi and Jean-Normand Bucchi, “Deferred+: Next-Gen Culling and Rendering for Dawn Engine”, GPU Pro, pp.77-104, Black Cat Publishing 2017.
[2] 三嶋 仁, “最新タイトルのグラフィックス最適化事例”, https://cedil.cesa.or.jp/cedil_sessions/view/1897, CEDEC 2017.

概要

ここでは,[1]の文献をベースに纏めて置きます。
基本的に2パスで処理を行います。まず1パス目がMain Passと呼ばれるものです。
前フレームの深度バッファを1/4解像度にダウンサンプリングして,現フレームのビュー射影行列を用いて,現在フレームにおおまかに一致する深度バッファを作成しインダイレクトドローを用いて可視と判定されたメッシュのみを描画します。
2パス目はFalse Negative Passと呼ばれるもので,フル解像度でMain PassでOccludeと判定されたOBBを描画し,インダイレクトドローを用いて,可視と判定されたメッシュのみを描画します。

Main Passの処理概要は次です。

  • ① 深度バッファのダウンサンプリングとリプロジェクション
  • ② ビジビリティバッファのクリア
  • ③ ビジビリティバッファを埋める
  • ④ インダイレクトドロー情報を生成する
  • ⑤ 可視メッシュをインダイレクトに描画する

False Negative Passの処理概要は次になります。

  • ① ビジビリティバッファのクリア
  • ② ビジビリティバッファを埋める
  • ③ インダイレクトドロー情報を生成する
  • ④ 可視メッシュをインダイレクトに描画する

以下のデータが多分必要。

  • 前フレームの深度バッファ
  • 雑な現フレームの深度バッファ(Computeから深度書き込みできないらしいので,Color → Depthの変換が必要らしい…)
  • ビジビリティバッファ(uint32_tのUAV) 
  • インスタンス変換用のバッファ(たぶん,ワールド行列。これをつかってGPU上でOBBにする)
  • メッシュ情報
  • インダイレクトドロー引数用のバッファ(可視メッシュ描画用)
  • 可視インスタンスのインデックスバッファ
  • Occludeされたインスタンスのインデックスバッファ

上記のうち,[1]によると…
<CPU更新>

  • メッシュ情報
  • インスタンス変換用のバッファ

<GPU更新>

  • ビジビリティバッファ
  • 可視インスタンスのインデックスバッファ
  • Occludeされたインスタンスのインデックスバッファ
  • インダイレクトドロー引数用のバッファの

とのこと。

実装詳細

Main Pass

深度バッファのダウンサンプリングとリプロジェクション

前フレームの深度バッファを用いて4×4ピクセルの最大値をコンサバティブにとることにより1/4解像度にダウンサンプリングし,前のフレームのワールド位置座標を復元します。
復元した,ワールド位置座標に現フレームのビュー射影行列を掛けて,w除算することにより現フレームの雑な深度情報を生成しておきます。大きな深度値を避けるためにカメラよりも後ろの深度値を出力することを抑制します。
疑似コードは次のようになります。

// 4要素のうちの最大値を求める.
float Max4(float4 value)
{ return max( max( max(value.x, value.y), value.z ), value.w ); }

[numthreads(REPROJECT_THREAD_GROUP_SIZE, REPROJECT_THREAD_GROUP_SIZEk, 1)]
void main(uint3 dispatchThreadID : SV_DispatchThreadID)
{
     if ((dispatchThreadID.x < (uint(SCREEN_WIDTH)/4)) 
      && (dispatchThreadID.y < (uint(SCREEN_HEIGHT)/4)))
    {
        const float2 screenSize = float2(SCREEN_WIDTH/4.0f, SCREEN_HEIGHT/4.0f);
        float2 texCoords = (float2(dispatchThreadID.xy) + float2(0.5f, 0.5f)) / screenSize;

        const float offsetX = 1.0f/SCREEN_WIDTH;
        const float offsetY = 1.0f/SCREEN_HEIGHT;

        // 深度のダウンサンプル
        float4 depthValues00 = depthMap.GatherRed(depthMapSampler, texCoords + float2(-offsetX, -offsetY));
        float depth = Max4(depthValues00);

        float4 depthValues10 = depthMap.GatherRed(depthMapSampler, texCoords + float2(offsetX, -offsetY));
        depth = max( Max4(depthValues10), depth);

        float4 depthValues01 = depthMap.GatherRed(depthMapSampler, texCoords + float2(-offsetX, offsetY));
        depth = max( Max4(depthValues01), depth);

        float4 depthvalues11 = depthMap.GatherRed(depthMapSampler, texCoords + flaot2(offsetX, offsetY));
        depth = max( Max4(depthValues11), depth);

        // ダウンサンプルした深度から前フレームのワールド空間位置座標を再構築する.
        float4 lastProjPosition = float4(texCoord, depth, 1.0f);
        lastProjPosition.xy = (lastProjPosition.xy * 2.0f) - 1.0f;
        lastProjPosition.y = -lastProjPosition.y;
        float4 position = mul(cameraCB.lastInvViewProjMatrix, lastProjPosition);
        position /= position.w;

        // 現フレームの射影空間位置座標を計算する.
        float4 projPosition = mul(cameraCB.viewProjMatrix, position);
        projPosition.xyz /= projPosition.w;
        projPosition.y = -projPosition.y;
        projPosition.xy = (porjPosition.xy * 0.5f) + 0.5f;
        int2 outputPos = int2(saturate(projPosition.xy) * screenSize);

        // カメラ背後の大きな深度値を避ける.
        float depthF = (projPosition.w < 0.0f) ? depth : projPosition.z;

        // atomic max操作のための深度変換.
        // バインドされたカラーバッファはゼロで初期化されるため,最初に深度を反転し,atomic max操作を行い,
        // 最終的な深度バッファにコピーする際に深度を戻す.
        uint invDepth = asuint(saturate(1.0f - depthF));

        // 新しい位置にリプロジェクションされた深度を書き込む.
        InterlockedMax(depthTexture[outputPos], invDepth);

        // リプロジェクションによる穴あきを処理するために現在位置にリプロジェクションされた深度を書き込む.
        InterlockedMax(depthTexture[dispatchThreaID.xy], invDepth);
    }
}

ビジビリティバッファのクリア

ゼロクリアする。
DirectX12のUAVクリアAPIか,コンピュートシェーダでゼロクリアする。

ビジビリティバッファを埋める

前フレームの深度バッファから作成された現フレームの深度バッファをバインドして,ピクセルシェーダで[earlydepthstencil]付きでOBBを描画し,可視メッシュのフラグを立てる。
疑似コードは次のようになります。

// 頂点シェーダ
VS_Output main(uint vertexId : SV_VertexID, uint instanceID : SV_InstanceID)
{
    VS_Output output;

    output.occludedID = instanceID;

    // 単位キューブの位置を生成する.
    float3 position = float3(((vertexID && 0x4) == 0) ? -1.0f : 1.0f,
                             ((vertexID && 0x2) == 0) ? -1.0f : 1.0f,
                             ((vertexID && 0x1) == 0) ? -1.0f : 1.0f);

    matrix instanceMatrix = instanceBuffer[output.occludedID];
    float4 positionWS = mul(instanceMatrix, float4(position, 1.0f));
    output.position   = mul(cameraCB.viewProjMatrix, positionWS);

    // カメラがバウンディングボックスの中の場合,オブジェクト自身が可視であっても完全に遮蔽される.
    // そのため,バウンディングボックスの頂点がニア平面の後ろであるものは,そのようなオブジェクトカリングを避けるために
    // ニア平面の前にクランプされる.
    output.position = (output.position.w < 0.0f) 
                      ? float4(clamp(output.position.xy, float(-0.999f).xx, float(0.999f).xx), 0.0001f, 1.0f)
                      : output.position;

    return output;
}

// ピクセルシェーダ
[earlydepthstencil]
void main(VS_Output input)
{
    visBuffer[input.occludedID] = 1;
}

インダイレクトドロー引数の生成

コンピュートシェーダ上でインダイレクトドロー引数を生成する。
疑似コードは次のようになります。

#define THREAD_GROUP_SIZE 64

groupshared uint visibileInstanceIndexCounter;

[numthread(THREAD_GROUP_SIZE, 1, 1)]
void main
(
    uint3 groupID          : SV_GroupID,
    uint  groupIndex       : SV_GroupIndex,
    uint3 dispatchThreadID : SV_DispatchThreadID
)
{
    if (groupIndex == 0)
    {
        visibleInstanceIndexCounter = 0;
    }
    GroupMemoryBarrierWithGroupSync();

    MeshInfo meshInfo = meshInfoBuffer[groupID.x];
    for(uint i=0; i<meshInfo.numInstances; i+=THREAD_GROUP_SIZE)
    {
        uint elementIndex = groupIndex + i;
        if (elementIndex < meshInfo.numInstances)
        {
            uint instanceIndex = mesh.instanceOffset + elementIndex;

            // 可視の場合.
            if (visBuffer[instanceIndex] > 0)
            {
                uint index;
                InterlockedAdd(visibleInstanceIndexCounter, 1, index);
                visibleInstanceIndexBuffer[meshInfo.instanceOffset + indexs + NUM_FILL_PASS_TYPE] = instanceIndex;
            }
            else
            {
                uint index;
                InterlockedAdd(drawIndirectBuffer[0].instanceCount, 1, index);
                occludedInstanceIndexBuffer[index] = instanceIndex;
            }
        }
    }
    GroupMemoryBarrierWithGroupSync();

    if (groupIndex == 0)
    {
        if (visibleInstanceIndexCount > 0)
        {
            // 可視メッシュのカウンターをインクリメントする.
            uint cmdIndex;
            InterlockedAdd(visibleInstanceIndexBuffer[meshInfo.meshType], 1, cmdIndex);
            cmdIndex += meshInfo.meshTypeOffset + 1;

            // G-Bufferに可視メッシュを描画する.
            DrawIndirectCmd cmd;
            cmd.instanceOffset        = meshInfo.instanceOffset;
            cmd.MaterialId            = meshInfo.materialId;
            cmd.indexCountPerInstance = meshInfo.numIndices;
            cmd.instanceCount         = visibleMeshInstanceIndexCounter;
            cmd.startIndexLocation    = meshInfo.firstIndex;
            cmd.baseVertexLocation    = 0;
            cmd.startInstanceLocation = 0;
            drawIndirectBuffer[cmdIndex] = cmd;
        }
    }
}

可視メッシュを描画する

メッシュタイプごとにExecuteIndirectコマンドを発行して,描画します。
疑似コードはつぎのような感じ。

VS_Output main(VS_Input input, uint instanceID : SV_InstanceID)
{
    VS_Output output;
    uint instanceIndex = instanceInfoCB.instanceOffset + instanceID+

    instanceIndex = visibleInstanceIndexBuffer[instanceIndex + NUM_MESH_TYPES];

    matrix transformMatrix = instanceBuffer[instanceIndex].transformMatrix;

    ...
}

長くなったので,続きのFalse Negative Passは次回書きます。

Pre-Integrated SkinのLUTを作ってみた。

こんにちわ。
Pocolです。

会社でキャラの肌が調整しずらいからどうにかしてくれ!
…と,言われてしまったので,とりあえずPre-Integrated Skinを調べてみようと思いました。

LUTテーブル作るところまでは実装してみました。
出来上がったLUTのテクスチャはこちら。

で,これを作るソースコードは以下のような感じ。


#define STBI_MSC_SECURE_CRT
#define STB_IMAGE_WRITE_IMPLEMENTATION

//-----------------------------------------------------------------------------
// Includes
//-----------------------------------------------------------------------------
#include <cstdio>
#include <stb_image_write.h>
#include <vector>
#include <asdxMath.h>

//-----------------------------------------------------------------------------
//      リニアからSRGBに変換.
//-----------------------------------------------------------------------------
inline float ToSRGB(float value)
{
    return (value <= 0.0031308) 
        ? 12.92f * value 
        : (1.0f + 0.055f) * pow(abs(value), 1.0f / 2.4f) - 0.055f;
}

//-----------------------------------------------------------------------------
//      ガウス分布.
//-----------------------------------------------------------------------------
inline float Gaussian(float v, float r)
{ return 1.0f / sqrtf(2.0f * asdx::F_PI * v) * exp(-(r * r) / (2.0f * v)); }

//-----------------------------------------------------------------------------
//      散乱計算
//-----------------------------------------------------------------------------
inline asdx::Vector3 Scatter(float r)
{
    // GPU Pro 360 Guide to Rendering, "5. Pre-Integrated Skin Shading", Appendix A.
    return 
          Gaussian(0.0064f * 1.414f, r) * asdx::Vector3(0.233f, 0.455f, 0.649f)
        + Gaussian(0.0484f * 1.414f, r) * asdx::Vector3(0.100f, 0.336f, 0.344f)
        + Gaussian(0.1870f * 1.414f, r) * asdx::Vector3(0.118f, 0.198f, 0.000f)
        + Gaussian(0.5670f * 1.414f, r) * asdx::Vector3(0.113f, 0.007f, 0.007f)
        + Gaussian(1.9900f * 1.414f, r) * asdx::Vector3(0.358f, 0.004f, 0.00001f)
        + Gaussian(7.4100f * 1.414f, r) * asdx::Vector3(0.078f, 0.00001f, 0.00001f);
}

//-------------------------------------------------------------------------------
//      Diffusionプロファイルを求める.
//-------------------------------------------------------------------------------
asdx::Vector3 IntegrateDiffuseScatterOnRing(float cosTheta, float skinRadius, int sampleCount)
{
    auto theta = acosf(cosTheta);
    asdx::Vector3 totalWeight(0.0f, 0.0f, 0.0f);
    asdx::Vector3 totalLight (0.0f, 0.0f, 0.0f);

    const auto inc = asdx::F_PI / float(sampleCount);
    auto a = -asdx::F_PIDIV2;

    while(a <= asdx::F_PIDIV2)
    {
        auto sampleAngle = theta + a;
        auto diffuse     = asdx::Saturate(cosf(sampleAngle));
        auto sampleDist  = abs(2.0f * skinRadius * sinf(a * 0.5f));
        auto weights     = Scatter(sampleDist);

        totalWeight += weights;
        totalLight  += weights * diffuse;
        a += inc;
    }

    return asdx::Vector3(
        totalLight.x / totalWeight.x,
        totalLight.y / totalWeight.y,
        totalLight.z / totalWeight.z);
}

//-----------------------------------------------------------------------------
//      ルックアップテーブル書き出し.
//-----------------------------------------------------------------------------
bool WriteLUT(const char* path, int w, int h, int s)
{
    std::vector<uint8_t> pixels;
    pixels.resize(w * h * 3);

    float stepR = 1.0f / float(h);
    float stepT = 2.0f / float(w);

    for(auto j=0; j<h; ++j)
    {
        for(auto i=0; i<w; ++i)
        {
            auto radius    = float(j + 0.5f) * stepR;
            auto curvature = 1.0f / radius;
            auto cosTheta  = -1.0f + float(i) * stepT;
            auto val       = IntegrateDiffuseScatterOnRing(cosTheta, curvature, s);

            // 書き出しを考慮して, 上下逆にして正しく出力されるようにする.
            auto idx = ((h - 1 - j) * w * 3) + (i * 3);

            pixels[idx + 0] = static_cast<uint8_t>(ToSRGB(val.x) * 255.0f + 0.5f);
            pixels[idx + 1] = static_cast<uint8_t>(ToSRGB(val.y) * 255.0f + 0.5f);
            pixels[idx + 2] = static_cast<uint8_t>(ToSRGB(val.z) * 255.0f + 0.5f);
        }
    }

    auto ret = stbi_write_tga(path, w, h, 3, pixels.data()) != 0;
    pixels.clear();

    return ret;
}

//-----------------------------------------------------------------------------
//      メインエントリーポイントです.
//-----------------------------------------------------------------------------
int main(int argc, char** argv)
{
    std::string path = "preintegrated_skin_lut.tga";
    int w = 256;
    int h = 256;
    int s = 4096;

    for(auto i=0; i<argc; ++i)
    {
        if (_stricmp(argv[i], "-w") == 0)
        {
            i++;
            auto iw = atoi(argv[i]);
            w = asdx::Clamp(iw, 1, 8192);
        }
        else if (_stricmp(argv[i], "-h") == 0)
        {
            i++;
            auto ih = atoi(argv[i]);
            h = asdx::Clamp(ih, 1, 8192);
        }
        else if (_stricmp(argv[i], "-s") == 0)
        {
            i++;
            auto is = atoi(argv[i]);
            s = asdx::Max(is, 1);
        }
    }

    return WriteLUT(path.c_str(), w, h, s) ? 0 : -1;
}

ちょっとググって調べた感じだと,https://j1jeong.wordpress.com/2018/06/20/pre-intergrated-skin-shading-in-colorspace/というBlog記事をみて,検証もせずにとりあえず鵜呑みで,sRGBで書き出してみました。
シェーダで使う場合は補正入れてリニアになるようにしてから使ってください。

NaNをなくす

良くライティング計算結果がNaNになってポストエフェクトでバグるというのが頻発していて困っていたのですが,
ようやく最近回避方法を知りました。
StackOverflowとかみていたら,

step(value, value) * value;

みたいにすると,NaNである場合には0になり,NaN以外の場合にはvalueで返すことが出来るらしい…。
と書いてあったのですが,よくよく考えてみるとstep(value, value)のところは確かにゼロとなるので問題ないなさそうに思えるのですが,NaNとの四則演算結果はNaNになるような気がします。実際に試してみたのですが,やっぱり駄目でした。

あとは,Googleのfilamentに

#define MEDIUMP_FLT_MAX    65504.0
#define saturateMediump(x) min(x, MEDIUMP_FLT_MAX)

みたいなのが書いてあったので,下記のような実装を試してみました。

static const float HALF_MAX = 65504.0;
clamp(value, 0.0f, HALF_MAX);

結果として,NaNが発生しなくなりバグが解消されるようになりました。
自分なりになぜNaNが発生しなくなるのかを考えてみたのですが,NaNの性質として !=以外の演算は常にfalse, !=演算は常にtrueという性質があるようです。よって,clamp()メソッドを使うと比較演算が実行されるので,この結果としてNaNをはじいて指定範囲内に収まると考えれば非常に納得がいきます。ここではclamp()を試しましたが,同様の理屈が通るのであればmax()などでも代用できるはずです。

さて,特に物理ベースレンダリングに移行する際に,GGXモデルなどを使うことが多いと思うのですが,定式化されているものが除算を含む形で定義されているので,実装する際に除算をしなくてはならないということが発生します。
GGXの計算する際に,分母がゼロになることにより,ゼロ除算が発生し,計算結果がNaNになる可能性があります。
また,pow()関数を使用している場合は,MSDNのドキュメント にも書いてあるように第1引数が0未満の場合はNaNになり,第1引数・第2引数がともにゼロの場合はハードウェア依存によりNaNが発生する可能性があります。

昔からよくある方法としてゼロ除算を発生させないために,例えば1e-7fなどのような小さな値を分母側に足しておき,ゼロにならないようにオフセットを掛けるという回避方法もあるのですが,この方法は除算には適用できるのだけれども,pow()関数には適用できません。

GGXを用いたライティング計算の場合は,ゼロ除算が発生する可能性があるため最初はこのオフセットを足し込むというやり方を取っていたのですが,これをやってしまうと計算結果が変わってしまい,ハイライトが鈍くなるなど見た目上に影響を及ぼすことが分かりました。
PBRやっているはずなのに,何故かなまった感じの画が出る場合には,下駄をはかせてハイライトを潰してしまっていないかどうか確認するのを強くお勧めします。
下駄をはかせている箇所を下駄を取って普通に除算し,最後に上記のようなNaNをはじく処理をいれることで,ハイライトがなまったり,ライティング以降のレンダリングパスでバグるという問題を解決することが出来ます。また,pow()関数を用いる場合にも適用でき,NaNをなくすることができるので,NaNで困っている方はぜひ試してみてください。

※もっとより良い方法ご存知であれば,是非教えてください!

最近悩んでいること。

こんにちわ,Pocolです。

たまには日記っぽいことを書いてみようかと思います。
最近の悩みは,シェーダバリエーションの生成とシェーダのマルチプラットフォーム対応どうしようかな?ってことで悩んでいます。
仕事で使っているものは他の方が書いてくれたもので,特に問題なく使っています。
で,「プライベートで使う方はどうしようかな?」ってのが今回の悩みです。
仕事で使っているのと同じものを作るのが手間というのと,
#ifdefのオンパレードが死ぬほど嫌いなので,趣味のコーディングではそういった手法は使いたくないです。
ソースコードが汚くなる。

で,比較的に綺麗に書けたなぁっていうのが,fxファイル。
前職で有名な方もいまだに使っていたというのと,バンジーのスライドだったような気がするのですが,やっぱりfxっぽい記述できるようにしていたんですよね。あとunityもcgfxっぽい感じなので,「やっぱりfxファイルでいいんじゃないの?」って気がして,fxシステム欲しいなぁ・欲しいなぁと思って,ずっと放置していました。
ようやく仕事がひと段落付きそうなので,ちろっと作ってみました。
https://github.com/ProjectAsura/asfxc

あんまり,凝ったツールにすると面倒なので,シェーダの組み合わせだけをとりあえず作るようにしてみました。
組み合わせはxmlファイルで吐き出すので,あとで別ツールにかまして… みたいなことができます。…というかその目的で作っています。
あくまでも,バリエーション生成用のHLSLソースコードと,バリエーションの羅列を出力だけする簡単なツールです。
雑ですが,とりあえずバリエーション生成はこれで解決!

あと残ったのは,マルチプラットフォーム対応ですね。
会社ではHLSLcc使っているみたいなんですが,HLSLccのフラグに関するドキュメントっぽいものがあんまりなくて,ちと不親切。
で他にないかなぁ…って探していたら,ありました。
https://github.com/microsoft/ShaderConductor

Microsoftが作ってくれているみたいなのです。
Metalにも対応しているみたいなので,「あ、これでいいじゃん!」って思ったので,今のところこれで行こうと思います。
これで,マルチプラットフォーム対応も(ほぼ)問題ないです。

シェーダのワークフローは下図みたいな感じになります。

「ほぼ」と言ったのにはワケがって,それでまた悩み中です。
悩み解決の進展があったら,またなんか書こうとかと思います。

深度バイアスについて

お久しぶりです。Pocolです。
最近お仕事の関係で,たまたま他社さんのソースコードを観る機会があったのですが,そのソースコードのコメントに自分のホームページのURLが記載してありました。
で,見てみたら深度バイアスの説明している個所だったのですが…
「これ正確じゃないな…」と今更ながら気づいてしまったので,訂正を兼ねてここで説明することにします。

深度バイアスについては,”Real-Time Rendering Forth Edition”の7.5にまとめられています。

(さらに…)