超雑訳 Moving Frostbite to Physically Based Rendering 2.0 (1)

一応本職は,リアルタイム系のグラフィックスプログラマーなのでリアルタイム系のPBRも抑えておこうと思います。
一番がっつりと書いてありそうな,Forstbiteエンジンの資料を適当に和訳していくことにします。
毎度のことですが,誤訳等がありますので,予めご了承ください。指摘の際は正しい翻訳文と共に指摘して頂けると有り難いです。


1 Introduction

過去数か月の間に,我々はFrostbite 上での画像品質へのアプローチ全体を再評価してきました。全体的な目標は’映画のような見た目’を達成することで,従ってこれを達成するために物理ベースレンダリング(PBR)への移行は自然な方法でした。Frostbite のために行っている移行作業は,現在のゲーム業界における最新技術に基づいています。例えば,Killzone Shadow Fall[Dro13],Unreal Engine 4[Kar13],Remember Me[LH13],そしてMetal Gear Solid Ⅴ:Ground Zeros[Koj+13]です。これらの基礎をもとに,我々は既存手法を更に改良し,分野において未解決問題をかみ砕いて亡くすのを試みます。
 R&Dのプロセスの至る所で,我々は’ground truth’のリファレンスを使用しました―すなわち,適切に計測あるいは描画された結果で―解決策の正確さを評価するためにです。しかしながら,真に物理的に正しいことは巨大な作業で,現在のリアルタイムのパフォーマンス制限が与えれた今日のゲームエンジンが達成できる見込みはありません。したがって,ここでは,妥当な近似が依然として可能性があり,我々の画像品質目標により近いものがもたらされた場合に我々は絶対的な信憑性を好みます。
 PBRは一般的な業界用語となっていますが,それが意味するのはゲームエンジン間で大きな違いがあります。我々にとって,コアとなるPBR原則の1つはマテリアルとライティング情報の分離で,それはシーン内の全てのオブジェクト間で視覚的な一貫性を確保するキーとなります。このアプローチで,同じライティングが全てのオブジェクト上と全てのマテリアルレイヤーでネガティブライティングのハックやライトの寄与を’2重カウント’するようなアーティファクトなしで適用されます。作品の観点から,これはアセットと異なる環境を越えるライティングリグの再利用をトランスペアレントなやり方で促進させます。同時に,アーティストに提示するパラメータの数も減らし,より直感的にオーサリングを行わせます。しかしながら,このドキュメントの後の方で見るように,パフォーマンスの理由のためライティングやマテリアルはコード上で密接に連動しているので,この分離はオーサリングの視点からのみ正しいです。
 PBRを抱え込むとき,早急な理解の1つはグラフィックスパイプライン全体(レンダラ―やツール)を更新する必要があるということです。これらを念頭に置いて,これらのコースノートでの我々の目的は文献上で一般的には省略される多くの小さな詳細を含み,大規模なプロダクションエンジンについて必要される異なるアップグレードの全てをカバーすることです。まず,セクション2でground-truthリファレンスがPBRのコンテキスト中でどのぐらい重要であるかを詳細に説明します。セクション3はマテリアルを提示し,どのように物質とライトが影響するかをレビューします。これに続き,セクション4はライトがどのように定義され放射されるかを説明します。セクション5はカメラと出力画像に焦点をあて,どのようにルミンナンスが最終的なピクセル値へと変換されるかをカバーします。最後に,セクション6で結論付け,どのようにPBRへの移行を計画したのかとこの期間どのように考えたかを振り返ります。
 続ける前に,この作業は業界を越える多くの人々のコラボレーションの結果であることを言及したいとおもいます。このドキュメントは素晴らしいグラフィックスコミュニティによって共有されたたくさんの情報を集めており,多くの人々がこの作業にクレジットされています(Acknowledgementセクションを参照してください)。

Remarks:このドキュメントの初めから終わりまで,表1に記載された表記法を使用します。

Frostbite_Table_1

※表は,Sebastien Lagarde and Charles de Rousiers, “Moving Frostbite to Physically Based Rendering 2.0”,
SIGGRAPH 2014 Course: Physically Based Shading in Theory and Practice, p.3 より引用

 

2 Reference

2.1 Validating models and hypothesis

ビデオゲーム業界は何十年もの間,よりフォトリアリスティックなイメージを得るために努めてきました。しかしフォトリアリズムはデータとそのような画像を作成するために使用される方法については何も言っていません。結果は定量的に判定されます。物理ベースレンダリングは実世界の振る舞いや性質をシミュレートを試みるのとは異なり,ここでは結果が定量的になります。この個所がground-truthデータにおける追加要件です。正しいモデルと正確な仮説,すなわち良いリファレンスを注意深く選択することが重要となります。正しい選択をし,技術や方法がどのように関連するかを判定するための最も良いアプローチは実世界との比較と観察をすることです。粗いレベルの観察において実世界は我々にハイライトの形状,ウェットなサーフェイスのふるまい,光強度の違い,その他多くの視覚的な特徴の早急な理解を与えます。図1参照。マテリアルについて実世界のリファレンスをとったときに,各スケールにおいて示される異なるライティングの振る舞いを捕捉するために複数スケール写真を撮ることが重要です。

Frostbite_Fig_1

※図は,Sebastien Lagarde and Charles de Rousiers, “Moving Frostbite to Physically Based Rendering 2.0”,
SIGGRAPH 2014 Course: Physically Based Shading in Theory and Practice, p.4 より引用

しかしながら,普通それはかなり複雑あるいは実データを正確に計測るために時間がかかりすぎます。MERL[MER]のようないくつかのデータベースは早急にモデルにアクセスするのを可能とするそのようなデータへのアクセスを提供しています。我々のアプローチでは,ライト強度やフォールオフ,空の明るさ,カメラ効果など実際のデータを計測し,検証するのを試みました。しかし,これらのステップは時間の無駄で,セットアップが常に簡単ではありません。

 

2.2 Validating in-engine approximations

Mitsuba[Jak10]のようなモダンなPBRパストレーサ(Wenzel Jakobの親切な行い)は最新のレンダリング技術を実装しており,信じられないほど素晴らしいリアリスティックなイメージを生成します。そのようなソフトウェアを用いることは正確なモデルを利用することについて容易な代替え手段となります。Frostbite では,シンプルなMitsubaへのエクスポーターを書き,近似の妥当性を早急に確認できるようにしました。エクスポーターはジオメトリと定数マテリアル情報(すなわち,テクスチャ無し)と,全ての光源をエクスポートする能力があります。このセットアップでマテリアルモデル,ライトの溶け込みそしてライト強度を確認するのが容易になりました。さらに,このエクスポーターはグローバルイルミネーションやアンビエントオクルージョン,そして反射のようなより複雑な現象の正確性を検証するのを可能にしました。図2はエクスポート後の自動的にトリガーされたウィジットを示しており,高速にスワイプでき,完全な露出制御つきでエンジン内の結果とオフラインリファレンス間のピクセル値の比較できます。レンダラ―によって出力される強度の範囲幅のため,この最後の点が重要です。この範囲を保存するために,両方のレンダラ―は線形なHDRフォーマット,OpenEXR[Opea]へと最終的なイメージをエクスポートします。

Frostbite_Fig_2

※図は,Sebastien Lagarde and Charles de Rousiers, “Moving Frostbite to Physically Based Rendering 2.0”,
SIGGRAPH 2014 Course: Physically Based Shading in Theory and Practice, p.5 より引用

 

2.3 Validating in-engine reference mode

前述したような,エクスポーターは便利ですが,エクスポートとシーンを描画するためにどこでも数秒から数分を必要とします。様々な近似と正しいものを選択する上で早くイタレーションするために,GPU上でブルートフォースサンプリング(イメージベースドライティングとエリアライト)によってライティングを積分するためのエンジン内のリファレンスモードを追加しました。図3。描画時間は速くありませんが,イタレーションの回数はシンプルなエクスポーターよりもオーダーの大きさは速くなりました。Appendix Aはリファレンスモードにおけるいくつかのライトタイプの評価についてのリストを掲載しています。

Frostbite_Fig_3

※図は,Sebastien Lagarde and Charles de Rousiers, “Moving Frostbite to Physically Based Rendering 2.0”,
SIGGRAPH 2014 Course: Physically Based Shading in Theory and Practice, p.5 より引用

注意: 正しいリファレンスを使用するのは重要です。これは明らかであるように思えるかもしれませんが,リファレンスが良くない場合,近似はあまりにも良くなりません。もし,ヘアシェーディングモデルを近似する場合,リファレンスとして実世界に最も近い1つを使用します。式を近似するときに,オリジナルの式を使用するを確実にし,例えばOren-NayarあるいはFresnel方程式についてSchlickの近似など,これは誤差を招く可能があるので既に近似されたものは使用しません。完全に信用できる唯一のリファレンスは実世界になります。

 

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